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会社の経営とオーケストラ

こんにちは、イノウエです。
先日、約2年ぶりにオーケストラの一員として舞台に立ちました。

ヴァイオリンの画像

コーラルブログの中で既に触れたことがあるようにヴァイオリンはイノウエの趣味の一つで、合奏も子供の頃から長年やっています。
でもベートーヴェンの交響曲第9番は弾きたいし歌いたい!

ということでこの2年ほどは声楽の個人レッスンも受けたりして結構本気で合唱に取り組み、ようやく今年春に合唱の本番を無事終えました。第九を歌うという目標を達成し再び管弦楽曲を弾きたくなってきたところで折良く知人からエキストラ(演奏会の助っ人)の依頼があり、先日その本番に乗ってきたのでした。久々に吸うアマオケ(アマチュアオーケストラ)の空気は新鮮で楽しかったです。が、設立からまだそんなに年月が経っていないこともあってか、色々と大変そうな団体さんでした。

ドラッカーさんはその著作の中で、企業をオーケストラに例えています。

知識を基盤とする知識組織では、システムそのものの生産性を左右するものが、知識労働者一人ひとりの生産性である。かつては働き手がシステムのために働いたが、知識労働ではシステムが働き手のために働く。

このことの持つ意味を教えてくれる組織の例は、すでに十分すぎるほどある。大学を優れた大学にするものは、優れた教員や学者を惹きつけ、成長させ、傑出した教育と研究を行なわせる力である。

オペラハウスについても同じことがいえる。知識を基盤とする企業にもっとも似た組織がオーケストラである。そこでは三〇種類もの楽器が同じ楽譜を使って、チームとして演奏する。偉大なソロを集めたオーケストラが最高のオーケストラではない。優れたメンバーが最高の演奏をするものが最高のオーケストラである。

オーケストラの立て直しを頼まれた指揮者は、あまりにだらしのない者や年をとりすぎた者しか交替させられない。新しいメンバーを大勢入れるわけにはいかない。引き継いだものを最高のものに変えなければならない。そこで優れた指揮者は、各演奏者、各パートとの接触を深める。雇用関係は与件であって、メンバーは変えられない。したがって、成果をあげるのは指揮者の対人能力である。

P.F.ドラッカー著、上田 惇生訳『ネクスト・ソサエティ 歴史が見たことのない未来が始まる』2002年 ダイヤモンド社

この一節は、上記著作第Ⅲ部第2章「人こそビジネスの源泉」の、「競争力の源泉」という箇所に書かれています。企業が生き残り成功するためには知識労働者の生産性向上がいかに重要かということを説いている節です。

指揮者の腕

コーラルでもスタッフ一人ひとりの生産性はとても重要。各員がそれぞれの仕事をいかに効率良くかつ高品質に仕上げていくかということは、コーラルはもちろんクライアントの繁栄にも関わる重大事です。

ドラッカーさんは、企業の管理職がその対人能力をもって、関係各員がより良い仕事をするためにモチベーションを高く保ち奮励努力したくなる場を作ることの大切さや必要性をオーケストラに例えて説いているのですが、逆もまた然り。運営が未熟でもったいないことになるアマオケが多くあるので、アマオケでももっと・・とは常々思うところです。NPOや地域のグループ等様々な組織でもおそらく同様の課題を抱えていることでしょう。組織運営の永遠の課題かもしれません。

ドラッカーさんがこの比喩で念頭に置いているのはもちろんプロオケの演奏における指揮者の役割でしょうけれども、組織運営で人を育て活かすという点では、企業とアマオケのどちらについて考えても私の中では双方にプラス。この先しばらくの間お邪魔するあちこちのオーケストラで、組織運営についても勉強させてもらいつつ知見を広げ見識を深めていけるのではないかと、演奏以外の点でも楽しみにしています。